写実を越えた寓意性

初期の春川作品には物語やメッセージ性が色濃く反映されていたが、だんだんと男の表情が消えていくなど、抑制された表現の中に抽象的な寓意性が読み取れるようになる。春川が思い描く幻想と、見る側の妄想的イメージがシンクロするとき、そのあいまいなメッセージが明確になる。
このイラストでは男の頭がほとんど女性の尻の中にすっぽりと入り込み、見かたによっては首がペニスのようにも見える。顔面騎乗シリーズにおけるこのようなデフォルメの傾向は時々みられるのだが、これが意図的なものかはともかく、見るもののイマジネーションによってエキサイティングな解釈が可能となる寓意性が、春川作品の大きな魅力だ。特に春川のイラストでペニスが強調されて描かれることはまれであるため、この図には少しショッキングな印象を受ける。