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春川ナミオ 友の会 公式サイト

昭和30年代「奇譚クラブ」からデビュー。男性マゾヒズムの世界を独特のタッチで描く偉大なアーティスト春川ナミオに捧げる。

三者関係

飼育_1

 顔面騎乗が自分のためにでなく、他の男のためという悲劇が喜劇になる瞬間。そこにマゾヒズム的官能の美学と謎を見いだした、春川絵画の傑作である。




 恋愛で三角関係に悩む人はマゾヒストになってみるといい。

 好きな女性が他の男といちゃつく光景が快楽となる。




 マゾヒズムには、このような「劣位の三者関係」というオプションが用意されているのである。





初期の作品の魅力(2)

春川ナミオの世界_3

 初期の作品の際立った特徴は、あまり妖しさが感じられない点にある。

 芸術的な裸体画のようなエロティシズム漂う独特のムード。

 若き日の春川の特異な才能がすでに開花している。


初期作品の魅力

春川ナミオの世界_2

 春川ナミオ氏が、初期の自分の作品は上手に描けていない気がするので好きではない、とおっしゃっておられたが、私は好きである。

 スタイルや構図に関しては、後期に発表された作品によりいっそうの迫力を感じることも確かにあるが、女性の表情や、そこに至るまでのプロセスなど、理想の姿を模索していた時期ならではの、未熟さゆえのデリケートな味わいが感じられる。

 後期作品に比べると、お尻のフォルムや肌の質感の描き込みが物足りないとは言えるかもしれない。

 だが初期の春川の関心は、シチュエーションやプロセスとしての顔面騎乗へのこだわりが強かったのではないかと思われる。

 猿ぐつわをかまされて、まさにこれからお尻が顔の上にのしかかってくる瞬間。うっすらと目をあけて恍惚としているようにも見える。責待刻の刹那が表現されている。




謹賀新年

春川ナミオの世界_1

 明けましておめでとうございます。

 今年もよろしくお願いします。



若かりし頃



 春川ナミオ21歳の時の作品。(「奇譚クラブ」1968年6月号)

友の会に先立ち、昭和43年に「春川ナミオをいじめる会」というのが設立されていた。

 この頃デビューして3年目の室井亜砂路にライバル意識を持っていたのかどうか、

~「室井亜砂路氏の恋人募集広告」に対して~

というキャプションがつけられている。


東京・銀座/ヴァニラ画廊



白昼の大見世物展


ストリーが読めない! Part 2




 これまたなんだか意味不明だ。お金を払ってお尻を舐めさせてもらっているのだろうか?

 どうでもいいか、そんなこと。

男の表情が見られる例





 なんで俺、こんなことしてんだろう?

そんなにうれしそうでもない男の表情が印象的な作品。

 初期の作品ではこのように、男性の顔がたまに描かれている。お尻の下になって顔が見えない、またはあえて見せないような構図が多い春川作品だから、この作品のようになんともいえないユーモラスな表情が感じられる図というのは珍しい。凡人には近寄りがたいどろどろしたイメージが主流のSMの世界において、ほのぼの感が味わえるユニークな作品である。

 こういうのをちょっとだけFemDomと言えるのかな?

甘美なる重み

初期_02


 初期作品においては女性の豊満な肉体はそれぼど強調されずに、どちらかというとスマートなスタイルが多い。人間椅子かバーのカウンターシリーズに分類しようかと迷った作品であるが、画風や初期のソフトなイメージを尊重した。
 
 最初は一緒にお酒を飲みながら対等に会話を楽しんでいたのであるが、己のマゾ性癖をちょっとだけ告白したとしよう。いたずらっぽい目つきで女性から「今ここで私の椅子になってみる?」とで言われしまえば、誰でも跪いてしまう。

 そんなストーリーを思わず妄想させてくれる。


初期作品の傾向

初期作品_02


絵柄から判別できる場合がほとんどだが、初期の作品に見られる傾向として男性の顔が描かれていることが多い。顔面騎乗という特定の状況ではなく、様々なバリエーションの中で満足そうな顔、恐怖におののいた顔など、表情を楽しむことができた。

だんだん、男の顔は女性のお尻に埋もれ、表情は描かれなくなっていく。

脚&靴フェチ

ハイヒールでビール


 ハイヒールをグラス代わりにビールを飲んでいる?のであろうか。

な~るほどね、こういう使い方もあるのね!と思わせてくれます。

それとも飲んでいるのは聖水か?

 

笞を控えて子を損なう

拘束具


 絵柄から判断するしかないのだが、比較的初期のものと思われる。このような拘束具が使用されるのは珍しい。小説か何かの挿し絵であろうか。

 幼児虐待は論外として子育てには厳しい躾がいる。英語のことわざにも「Spare the rod,spoil the child」というのがある。

 きちんとしたマゾ奴隷の調教には、時として厳しいものが求められるものである。

ナミオM画廊シリーズ

M画廊_01


 「奇憚クラブ」ではイメージ・ギャラリーという、そのページの小説作品とは関係なく一コマものイラストがよく掲載されており、そこでは無名の読者投稿作品とともに、 室井亜砂路 や岡たかしなどのビッグネームも見られた。春川ナミオの場合1970年代初期からすでに「ナミオM画廊」というシリーズで登場している。この時期はまだ繊細なグラデーションの陰影はみられず、フラットな画風であった。

女学生の尻の下で

初期作品_01

 本来は従属的立場にいるはずの相手から支配や辱めを受けるという逆転の構図こそ、SMやFemDomの醍醐味といえる。それを端的に見せてくれるのが女学生のイメージ。未熟なつぼみともいえる半玉のドミナは、比較的初期の作品に多く登場する。

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澁澤龍彦

プロフィール:澁澤龍彦
1928年生まれ。マルキ・ド・サドやジョルジュ・バタイユの翻訳、紹介者として知られる仏文学者。1960年代以後、日本のマゾの新しい文化と顔面騎乗をリードし、マゾヒストの美意識にひとつの変革をもたらした。






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